「伊勢に行きたい伊勢路が見たい せめて一生に一度でも」と伊勢音頭にうたわれ、多くの人があこがれた伊勢参り。ときには500万人もの人びとが熱狂的に伊勢をめざした道は、東海道に次いで交通量が多く、物資や文化、情報の行き交うにぎやかな街道でした。なかでも桜井から榛原、室生、名張を経て伊賀、伊勢神宮へと向かうのが初瀬街道で、現在の国道165号とほぼ重なります。古代より、さまざまなドラマを生んできた「いにしえの道 歴史街道」を旅してみましょう。中世以降、初瀬街道は長谷寺への参詣道としての役割も持っていました。初瀬街道は、やがて宇陀市榛原で伊勢本街道へと分かれていきます。その分岐点にあるのが、昔の高札場だったという〈札の辻〉。そこには本居宣長が泊まったといわれる旧旅籠〈あぶらや〉が今も残っています。その後かつて宿場町があった道の駅宇陀路室生に立ち寄り、その後、同じく宿場町として栄えた名張へ向かいます。